MCPで不動産データをAI分析する — Claude × FUDOSAN DBの使い方
不動産データの分析には、データの取得、整形、集計、比較という手順がつきまとう。国交省のAPIを叩いてJSONを解析し、Excelやスクリプトで集計するのが従来のやり方だった。MCPを使うと、この一連の作業をAIへの一言で済ませられる。
MCPとは何か — 30秒で理解する
MCP(Model Context Protocol)は、AIアシスタントが外部のデータベースやサービスに接続するためのオープンプロトコルだ。Anthropicが2024年に公開した。
やっていることはシンプルで、AIが外のデータを読める仕組み。Claude単体では2025年までの学習データしか持っていないが、MCPで接続すれば、FUDOSAN DBが保有する最新の不動産取引データ720万件をリアルタイムに参照できる。ユーザーは日本語で質問するだけでいい。裏ではAIがMCPツールを呼び出し、データを取得し、分析結果をまとめて返してくれる。
FUDOSAN DB × MCPでできること
FUDOSAN DBのMCPサーバーには5つのツールがある。Claudeはユーザーの質問内容に応じて、これらを自動的に選んで呼び出す。
| ツール名 | 機能 |
|---|---|
search_areas |
エリア検索。都道府県名やキーワードで市区町村を絞り込む |
get_area_profile |
エリアプロファイル。人口、施設数、地価、災害リスクの統合データ |
get_price_trends |
不動産価格推移。四半期ごとの平均単価と取引件数 |
get_land_price_trends |
地価推移。年次の地価公示データ |
get_rankings |
ランキング。地価高値、上昇率、取引量などで全国比較 |
具体的にどう動くか。3つのケースで見てみる。
ケース1: エリア比較
Claudeは get_area_profile を港区と世田谷区の2回呼び出す。人口、平均地価、取引件数、施設数を並べて比較表を作り、それぞれの特徴をまとめてくれる。自分でAPIを2回叩いてJSONを並べて比較する手間が消える。
ケース2: ランキング抽出
get_rankings が呼ばれ、地価上昇率で全国の市区町村をソートした結果が返る。Claudeはランキング表を整形し、上位エリアに共通する傾向を読み取って解説を添える。
ケース3: 時系列分析
get_price_trends が呼ばれ、四半期ごとの取引単価と件数が返る。Claudeは上昇トレンドや季節変動を読み解いて説明する。Claude Desktopならグラフ描画も可能だ。
セットアップ手順
Claude Desktopの設定ファイルにFUDOSAN DBのMCPサーバーを追加する。
1. 設定ファイルを開く
Claude Desktopのメニューから Settings を開き、Developer タブの Edit Config をクリック。claude_desktop_config.json が開く。
2. MCPサーバーを追加
{
"mcpServers": {
"fudosandb": {
"command": "npx",
"args": [
"-y",
"mcp-remote",
"https://fudosandb.jp/mcp",
"--header",
"X-API-Key:${FUDOSANDB_API_KEY}"
]
}
}
}
環境変数 FUDOSANDB_API_KEY にAPIキーをセットしておく。APIキーはAPIドキュメントから取得できる。
3. Claude Desktopを再起動
設定を保存してClaude Desktopを再起動すると、チャット画面にFUDOSAN DBのツールが表示される。あとは日本語で不動産データについて聞くだけだ。
reinfolib APIを直接叩くのと何が違うか
国交省の不動産情報ライブラリ(reinfolib)は公開APIを提供している。自分でAPIを叩けば同じデータにアクセスできる。ではなぜMCPを使うのか。
| reinfolib API直接 | FUDOSAN DB MCP | |
|---|---|---|
| エンドポイント数 | 35本(非タイル3 + タイル32) | 5ツール |
| レスポンス形式 | JSON + PBF(バイナリ)混在 | 構造化JSON |
| 認証 | Ocp-Apim-Subscription-Key | X-API-Key(1つ) |
| 集計・比較 | 自前でコードを書く | AIが自動で処理 |
| データ加工 | PBFデコード、座標変換が必要 | 不要(前処理済み) |
reinfolib APIを直接扱う場合、35本のエンドポイントの仕様を理解し、PBFバイナリをデコードし、座標変換をかけ、取得したデータを集計用に整形する必要がある。FUDOSAN DB MCPはこの前処理を済ませた5つのツールを提供しているので、AI側は整理されたJSONを受け取って分析に集中できる。
もちろん、reinfolib APIを直接使うべきケースもある。タイルデータを地図上に重ねたい場合や、FUDOSAN DBがまだカバーしていない指標を取得したい場合は、APIを直接叩く方が柔軟だ。用途に応じて使い分ければいい。
コピペで使えるプロンプト集
以下のプロンプトはClaude DesktopにFUDOSAN DBを接続した状態でそのまま使える。
1つのプロンプトで複数のツールを組み合わせた分析を依頼できるのがMCPの強みだ。ランキングで気になるエリアを見つけて、そのプロファイルを取得して、さらに価格推移を確認する、という流れを一度の会話で完結させられる。