2050年、人口が増える街は全国で77しかない
不動産投資でいちばん怖いのは、高く買わされることだ。でも本当に効いてくるのは、その先にある。買ったあとに売れない、家賃が下がる、入居が決まらない。エリアの将来人口は、その全部に直結する。
FUDOSAN DBには国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口が250mメッシュ単位で収録されている。約771,000メッシュ、2020年から2050年までの推計だ。これを市区町村単位で集計すると、絵がはっきり出る。
- 2050年に人口が増えるのは、全国で77市区町村だけ。残りはすべて減る。
- うち307市区町村は4割超の激減。ここは「今の利回り」が高くても出口が読みにくい。
- 利回りは買うときの数字、人口は売るときの数字。両方を市区町村単位で並べて見るのが、業者の言い値に飲まれないいちばん安い方法だ。
2050年の地図:増える77、減る1,554
市区町村ごとの2050年推計人口を集計すると、こう分かれる。増える街は全体の5%に満たない。
| 2050年の人口 | 市区町村数 |
|---|---|
| 増える | 77 |
| 微減(0〜−20%) | 529 |
| 減る(−20〜−40%) | 718 |
| 激減(−40%超) | 307 |
増減の幅も大きい。人口が増える上位は東京都中央区+17.4%、港区+15.8%、千代田区+14.3%。一方、減少の下位は千葉県銚子市−46.1%、北海道小樽市−45.2%、愛媛県宇和島市−41.2%。同じ日本で、片方は17%増え、片方は46%近く減る。多くの投資家が「地方は利回りが高い」と聞いて検討するエリアの大半は、25年かけて人口が2〜4割減っていく側にある。
人口が減るエリアがすべて駄目なわけではない。減り方が緩やかで、駅前に需要が残り、地価が底堅い街はある。問題は、減少の度合いと地価の動きを、検討しているその市区町村について具体的に知っているかだ。
「今の利回り」だけで買うと何が起きるか
地方の一棟物件では、都心の区分より高い表面利回りが提示されることがある。数字だけ見れば魅力的だ。だが利回りは「今の家賃 ÷ 今の価格」でしかない。25年後にその家賃が取れる保証も、その価格で売れる保証も、利回りには入っていない。
出口で効くのは次の3つだ。
- 賃貸需要:人口、とくに生産年齢人口が減ると、空室期間が延び、家賃を下げないと埋まらなくなる。
- 売却の相手:人口が減る街は次の買い手も減る。売り急ぐと指値が深く入る。
- 地価の方向:人口減少が地価下落に先行して現れる街もあれば、すでに地価が軟調な街もある。
たとえば小樽市は人口127,651人で、2050年には45.2%減る推計だ。住宅地価も前年比−2.2%と下げている。宇和島市は人口63,384人で41.2%減る推計だが、住宅地価は前年比+0.9%で、小樽とは地価の動きが違う。人口の減少率だけで結論を出すのではなく、家賃下落・空室期間・売却期間・地価の方向を同じ市区町村でそろえて見る必要がある。判断材料を持っているかどうかの差だ。
「増える側」も中身を見る
人口が増える、あるいは地価が上がっているエリアは確かにある。ただし2025年の住宅地価は全国的に上がったが、上昇率には街によって大きな差があり、地価が上がる街と将来人口が増える街は一致しない。地価の勢いと人口の方向は別物として見る必要がある。
自分の検討エリアを逆引きする
「あなたが見ている市区町村は、77の増える側か、307の激減側か」。これは記憶や勘ではなく、データで引ける。FUDOSAN DBでは、市区町村ごとに2050年までの人口推計、住宅地価とその前年比、年間の取引件数、浸水・土砂災害リスクをまとめて見られる。
利回りは買うときの数字、人口は売るときの数字。両方をそろえて見れば、業者が出してくる「今だけ」の利回りに、自分の物差しを当てられる。
FUDOSAN DBのMCPサーバーをClaude等のAIに接続すると、「○○市の2050年人口推計と地価推移を出して」「人口が増えるエリアのランキングを教えて」といった質問に、データに基づいた回答が得られます。
MCP接続ガイドを見る本記事は公開データ(国土交通省 不動産情報ライブラリ、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計)にもとづく統計情報であり、特定の物件・地域の購入や売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。数値は2026年6月時点の集計です。