2050年人口予測データで見る不動産市場の未来
不動産の価値を決める要素はいくつもあるが、最も予測力が高いのは人口動態だと考えている。金利や経済政策は数年で変わる。再開発計画は頓挫することもある。だが人口の増減トレンドは10年、20年という時間軸でほぼ確実に進行する。
FUDOSAN DBには国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口データが250mメッシュ単位で収録されている。771,000メッシュ、2020年から2050年までの推計だ。このデータを不動産価格と照らし合わせると、今後25年の市場構造が見えてくる。
国全体では30%減。だが均等には減らない
日本の総人口は2050年にかけて約30%減少する見込みだ。だが地域ごとに見ると、状況はまったく異なる。
この二極化は今後も加速する。都市部への人口集中が進み、地方は過疎化が深刻化する。その構造変化を反映して、不動産市場も二極化していく。
人口増加エリアと地価の関係
人口増加率と地価上昇率には明確な正の相関がある。具体的な数値で並べると以下の通りだ。
| エリア | 人口増減率(2050年) | 地価前年比 | 地価水準 |
|---|---|---|---|
| 中央区 | +17.4% | +14.2% | 都心トップクラス |
| 港区 | +15.8% | +12.9% | 都心トップクラス |
| 千代田区 | +14.3% | 上昇傾向 | 23区最高 |
| 流山市 | +12.2% | 上昇傾向 | TX沿線の上昇エリア |
| エリア | 人口増減率(2050年) | 地価水準 |
|---|---|---|
| 銚子市 | -46.1% | 32,220円/m² |
| 小樽市 | -45.2% | 18,053円/m² |
中央区の地価は銚子市の数十倍だ。この差は交通利便性やインフラだけでは説明しきれない。将来の人口動態が織り込まれている。人が増えるエリアには住宅需要が生まれ、需要が地価を押し上げる。人が減るエリアでは空き家が増え、需給が緩んで価格が下がる。
都市圏内の二極化が鮮明
二極化は都市と地方の間だけで起きているのではない。同じ都市圏内でも発生している。
東京圏
千代田区+14.3%に対し、東京都の多摩地域の一部は-20%を超える見込みだ。23区内でも、中央区+17.4%と足立区では大きな開きがある。東京に住んでいれば安心という時代は終わっている。
大阪圏
大阪市中央区や北区は人口増加傾向にある一方、河内長野市は-38.7%の減少見込み。同じ大阪府で40ポイント近い差が生まれている。梅田や難波の再開発が進む中心部と、高度成長期に開発されたニュータウンの格差は広がる一方だ。
人口予測を投資判断に使う
人口増減率は、以下のようにスクリーニング指標として使える。
- 人口増加率がプラスのエリアに絞り込む。これだけで需要リスクの大部分を排除できる
- 人口増加率と地価上昇率を掛け合わせて、成長ポテンシャルの高いエリアを特定する
- 人口減少率が-30%を超えるエリアは、出口戦略が極めて難しい。長期保有前提でも慎重に判断すべきだ
ただし人口予測だけで投資判断をするのは早計だ。再開発計画、交通インフラの整備、産業構造の変化など、人口トレンドを逆転させる要因は存在する。印西市が+10.2%なのは、データセンター集積という産業要因が人口流入を生んだ結果だ。それでも、人口増減率はリスク排除の一次フィルターとして他の指標より先に使うべきだ。その上で再開発や産業要因を重ねる。
FUDOSAN DBの人口データ
FUDOSAN DBでは各市区町村のエリア詳細ページで、現在人口と2050年時点の人口増減率を表示している。スクリーナーを使えば、人口増減率でエリアをフィルタリングし、地価や災害リスクと組み合わせた複合検索も可能だ。
データソースは国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口で、250mメッシュ単位の推計値を市区町村に集計している。2020年を基準年とし、2050年までの5年刻みの推計が含まれる。