Claude Codeから不動産DBとEDINET DBを使う — 地価44年から有報の設備欄まで1つの会話で引く
コマンドを1行打つと、ターミナルのClaude Codeが不動産のデータを自分で取りに行くようになります。「世田谷区の35㎡・1LDK、築8年、駅徒歩5分。賃料いくら?」と打てば、推定賃料140,338円/月とその誤差レンジが返ります。続けて「4,200万円で買ったら利回りは?」と聞けば、表面4.01%・実質1.71%まで一息で出ます。ブラウザもポータルも開いていません。
すでにClaude.aiのコネクタで繋ぐ手順は別記事で書きました。こちらはターミナル側の話になります。同じデータに繋がりますが、使い勝手の性格がだいぶ違います。
Claude Codeで繋ぐと何が変わるか
Claude.aiのコネクタは、チャット画面で1件ずつ検討するのに向いています。物件を見つけて、聞いて、納得して、次に行きます。手軽さでは勝ります。
Claude Codeが効いてくるのは、その先です。第一に、結果がファイルとして手元に落ちます。物件20件の比較表をMarkdownで書き出し、そのままエディタで開いて注記を足せます。第二に、同じ分析を繰り返せます。1回目に組み立てた手順を、来週も来月も同じ形で回せます。第三に、他のコマンドと繋がります。物件リストのCSVを読ませて、1行ずつ賃料推定を当てて、結果をまた別のCSVに書く、といった流れです。これは会話画面ではやりにくい作業になります。
要するに、Claude.aiのコネクタは「調べる」ための入口で、Claude CodeのMCP接続は「回す」ための入口になります。
セットアップ
手順は2つだけで、5分もかかりません。
1. APIキーを取る
APIキー登録ページでアカウントを作り、APIキーを発行します。Freeプランで発行でき、1日100回まで呼び出せます。接続はHTTP直結なので、Claude Code以外に必要なものはありません。
2. MCPサーバーを追加する
最短は1コマンド。YOUR_API_KEYを発行したキーに置き換えて実行します。
設定をリポジトリで共有したい場合は、プロジェクト直下の.mcp.jsonに以下を書いても同じ状態になります(claude mcp addに--scope projectを付けると、このファイルが自動生成されます)。
保存してClaude Codeを起動し直すと、ツール一覧に不動産DBのツールが並びます。あとは日本語で聞くだけで、Claudeが必要なツールを選んで呼びます。ツール名を覚える必要はありません。
実演1 — 賃料を推定する
ここから先の数字は、実際にClaude Codeから不動産DBのMCPツールを呼んで返ってきた出力そのものです。
返ってきたのは推定賃料140,338円/月、想定レンジ138,728〜141,948円。使われたモデルはv5_noleak_urbanで、都市部での平均的な誤差(MAPE)は1.6%です。
この数字は、学習時点の相場をそのまま返したものではありません。モデルの学習時点は2026年3月で、そのままだと推定は135,435円になります。ここに世田谷区の地価が前年比7.24%上がっている事実を当てて、賃料側を3.62%だけ引き上げた結果が140,338円です。学習時点で止まった相場ではなく、直近の地価上昇を織り込んだ現在値が返ります。
| 世田谷区・35㎡・1LDK・築8年・徒歩5分 | 賃料 |
|---|---|
| モデル素の推定(学習時点2026年3月) | 135,435円/月 |
| 地価上昇を反映した補正後 | 140,338円/月 |
| 想定レンジ | 138,728〜141,948円 |
実演2 — そのまま利回りに繋げる
賃料が出たら、次は収支です。会話が続いているので、物件条件を打ち直す必要はありません。
表面利回り4.01%、実質利回り1.71%、1年目の年間キャッシュフロー717,450円。実質側は、空室率5%・管理費5%・修繕積立5%・固定資産税率1.4%・保険料0.3%という前提を引いた後の数字です。
| 購入4,200万円・全額自己資金 | 値 |
|---|---|
| 表面利回り | 4.01% |
| 実質利回り(諸経費控除後) | 1.71% |
| 年間キャッシュフロー(1年目) | 717,450円 |
- 表面4.01%と実質1.71%の差、つまり年2.3ポイント分が諸経費に消えています。
- 賃料は前段の推定値をそのまま引き継いでいます。数字を手で写す工程が挟まりません。
- 前提(空室率・経費率)が出力に明示されるので、自分の想定に合わせて振り直せます。
※統計モデルの推定値です。特定物件の売買を推奨するものではありません。
実演3 — 44年分の地価推移を引く
賃料と利回りは「いま」の話です。長く持つ前提なら、その土地が過去にどう動いてきたかも見ておきたいところです。
返ってきたのは1983年から2026年までの44年分。2026年の世田谷区・住宅地の平均は779,853円/㎡で前年比7.24%上昇、2025年は6.13%、2024年は3.98%。3年続けて上げ幅が拡大しています。
ここまでは直近の話で、Web上の相場記事でも読めます。44年分を一度に持ってくると、別の風景が出てきます。1987年は1年で122.99%上がっています。倍以上です。そして1993年には24.76%下がっています。バブルの膨張と収縮が、同じ区の同じ用途の数字として並びます。
| 世田谷区・住宅地の地価前年比 | 変化率 |
|---|---|
| 1987年 | +122.99% |
| 1993年 | -24.76% |
| 2024年 | +3.98% |
| 2025年 | +6.13% |
| 2026年 | +7.24% |
直近3年の上昇率だけを見て「堅調」と判断するのと、1987年と1993年を見た上で「堅調」と判断するのとでは、同じ言葉でも重みが違います。学習データの中の一般論ではなく、その区の実際の系列がターミナルに出てくる、というのがMCP接続の効きどころになります。
EDINET DBと組み合わせる — 有報の設備欄から地価へ
ここまでは不動産DB単体の話だが、Claude CodeのMCP接続は複数のサーバーを同時に繋げます。姉妹DBのEDINET DB(上場企業の有価証券報告書データ)を足すと、会話を企業側から始められるようになります。
EDINET DBのAPIキーはedinetdb.jp/developersで無料発行できます。
まずEDINET DB側が有報の「主要な設備の状況」を引きます。土浦工場・霞ヶ浦工場(茨城県土浦市他)が土地約496万㎡で最大の拠点だと分かります。設備欄の住所文字列は市区町村コード(土浦市=08203)に解決済みなので、そのまま不動産DB側の地価ツールに渡ります。
土浦市の工業地の公示地価は、1983年に19,100円/㎡、バブル期ピークの1991年に37,300円、2026年は23,600円。ピークの6割強の水準で、直近3年は+2〜4%で上がり始めています。有報のBSでは取得原価の1行に畳まれている土地の「その後」を、同じ会話の中で確かめられます。
| 土浦市・工業地の公示地価 | 円/㎡ |
|---|---|
| 1983年 | 19,100 |
| 1991年(バブル期ピーク) | 37,300 |
| 2010年 | 25,400 |
| 2026年(前年比+3.51%) | 23,600 |
企業 → 設備 → 所在地 → 地価という縦の串は、どちらか片方のDBだけでは組めません。EDINET DB側にもClaude Code接続の記事があるので、両方繋ぐ場合はそちらも参考になります。
定型レポートにする
ここまでの3つは、会話としては連続した1本です。この流れが固まったら、次は毎回打ち直さずに済ませたくなります。
Claude Codeは非対話モードで実行できるので、プロンプトを引数に渡して結果をファイルに落とせます。
これをシェルスクリプトに入れて物件条件をループさせれば、検討リストの全件について同じ形式のレポートが揃います。比較のときに効いてくるのは、数字そのものより「全部同じ前提で出ている」という一貫性の方だったりします。手で1件ずつポータルを引くと、この一貫性が最初に崩れます。
週次で回すなら、cronやスケジューラに載せて、注目エリアの地価と賃料水準の変化を定点で取る使い方もできます。Freeプランの1日100回はこの規模なら十分に収まりますが、賃料推定などの推定系ツールは1コールあたり5ポイントを消費する点は見ておいた方がいいです。
つまずきやすいところ
ツールが一覧に出てこない。ほとんどはClaude Codeの再起動忘れか、設定ファイルのJSONが壊れているかのどちらかです。カンマの位置を疑うと早いです。
認証で弾かれる。--headerの値はX-API-Key: YOUR_API_KEYという形で、コロンの後ろに半角スペースが1つ入ります。ここが詰まっていると通りません。
市区町村の指定が曖昧。「世田谷」と「世田谷区」では拾い方が変わることがあります。エリアが思ったところと違うと感じたら、市区町村コードで指定し直すとぶれません。世田谷区なら13112です。
推定値を実勢と混同する。賃料も利回りも統計モデルの出力で、実際の募集賃料や成約利回りとは差が出ます。前提を変えれば数字も動きます。ターミナルに小数点まで表示されると確かな数字に見えてきますが、性質としては推定のままです。
まとめ
コマンド1行で、Claude Codeが全国1,920市区町村の不動産データに直接繋がります。取引価格データは約626万件、地価公示・地価調査は1983年から2026年までの44年分。賃料推定と利回りシミュレーションは、その上に載った推定機能です。
会話画面と違うのは、結果が手元に残り、繰り返せて、他のコマンドと繋がることです。検討する物件が増えるほど、この差は開いていきます。
APIキーはFreeプランで発行でき、1日100回まで呼び出せます。コマンド1行でClaude Codeから賃料推定・利回りシミュレーション・地価推移が使えます。
APIキーを発行するよくある質問
Claude CodeとClaude.aiのどちらで繋ぐべきですか?
対話しながら1件ずつ検討するならClaude.aiのコネクタが手軽です。同じ分析を何度も回す、結果をファイルに残す、他のコマンドと繋げる、といった使い方をするならClaude Codeが向いています。両方を併用しても構いません。
APIキーは無料で取れますか?
Freeプランで取得でき、1日100回まで呼び出せます。ただし賃料推定などの推定系ツールは1コールあたり5ポイントを消費します。
Claude Code以外に必要なものはありますか?
APIキーだけです。接続はHTTP直結のため、Node.jsや中継ツールのインストールは不要です。
賃料や利回りの数字はどこまで正確ですか?
AI賃料推定の平均的な誤差(MAPE)は都市部で1.6%です。統計モデルによる推定値であり、個別物件の実際の募集賃料や成約利回りとは差が出ます。空室率や経費率の前提を変えれば数字も動きます。投資助言ではありません。
通常月額2,490円のところ、本日までの登録で月額1,490円になります。この価格は以降も継続します。Proプランは1日500回まで、Web・REST API・MCPのすべてで使えます。
プランを見る本記事は不動産DBのMCPツールの出力例と公開データ(国土交通省 不動産取引価格情報・地価公示・地価調査)にもとづく一般的な解説であり、特定の物件・地域の購入や売却を推奨するものではありません。賃料・利回りはAIモデルによる推定値で、実際の募集賃料・成約価格・利回りとは差が生じます。空室率・経費率などの前提条件により数値は変動します。地価の前年比は地価公示・地価調査ベースの集計値です。